2016年09月04日

WF2016Summer 後日譚④ 還暦造型家


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遂に還暦を迎えた造型家Iさん。怪獣全盛のボークス時代に私が大変お世話になった方で、プロデューサー的な立場で敏腕を振るっていたからこそあの頃のボークスがあったのだと思います。お互いにボークスを離れた後は、私にはよくわからないロボット(?)をその凄腕をもって延々と作り続けてきたIさんが遂に鉄人世界に戻ってきました。還暦になってもこれくらいのモノができるのだ、という証明を自らの作品でやってのけたIさんには脱帽です。

本人にすればやりたいものがようやくできた・・・という感慨があることでしょう。「鉄人、ギルバート、オックス、バッカスは今作っとかんと寝覚めが悪い」と言っていましたが本当に身に沁みてよくわかる言葉です。作り手として我々50~60代の者は残された時間の方が圧倒的に短く、アイテムを厳選しながら作り残しておきたいものに今まで以上に本気で向かい合っていかなければなりません。

Iさんが話の途中ふと「あのギエロン星獣はいくつくらいの頃?」と尋ねてきました。ボークスでの原型納品以来四半世紀が経過して久々に出た作品の話題だったのでこちらも少々面食らって「え~と、たしか24、5歳頃ですね。」と答えると「ようできてはったもんなあ。今でもギエロンの写真を何かで見るとあのキット思い出すわ。」ありがたい言葉です。「あの頃は寝る時以外はずっと粘土こねて昼夜逆転して造型三昧、でもそんなバカな時期を若い頃に持てたことが今となっては宝物ですよ。」「まあ、そうやねぇ。」と笑い合い、ここに出せないような話も含め、とりとめもない会話をしながら、去年よりだいぶやせて見えるIさんと造型の話ができるのもこの先何度あるだろう・・・と考えると何やら寂しさを感じてしまいました。

自分の作りたいものをすべて作り切ることはもう不可能ですし、作りたかったはずのものは時間の経過とともにどんどん“造型予定リスト”から消え続けている・・・そんな感覚がしています。かといって造型意欲がなくなってきているというわけではない・・・言葉で説明するのは難しいですがいろいろな意味で“身軽”になり、作り手として楽になってきていることだけは確かです。


posted by omantaworld at 20:04| Everyday Life | 更新情報をチェックする